fool on the hill

朝 露
ここは東京池袋から急行24分 典型的な東京のベッドタウン
自転車で5分も走れば見渡すほどの水田にも逢える
15年ほど前から夜明け前には散歩に出かける爺
体調管理のつもりが今はそれも飽き
ただ朝の空気を浴びるためにだけ

今時期 水田に広がる緑の絨毯は何よりも美しい
びっしりと群生する剣のような葉
針のような先端 ほんの1ミリ下ぐらい
それは小さく透明な水滴が全ての葉に一つづつ
朝陽が映える日など 輝く朝露の何とも言えぬ表情
どんな宝石にも比ぶべくもなく

こんなもの 身に纏える人がいるのなら
など あらぬ感慨

流れる水路には呆れるほどの鯉
亀に蛇 泳ぐも見る
懐かしい蛙の合唱 太い牛蛙の声
木に群がる白鷺のねぐらまで

2年ほど前 数メートル先の対岸 歩く狐を見た
とがった顔と大きくふさふさとした尾
見間違いでは決してない
ピンと立てた耳こちらに向け二人で5分ほど
見つめ合った 静かに去って行った
夢幻か その場に呆然と佇む爺 

いったいここは何処
香 水
昭和30年代終わり
長野市郊外はまだ見渡す限りの田んぼ
ある晴れた冬の日の下校 通学路を避け
一面雪の原を長靴に雪の塊入るも構わず
一人楽しく帰る

と 突如 世界が浮き上がった

ずぼっ!

なんと 胸まで埋まったは  肥溜め

一瞬 思考停止 

しばらく温泉に浸かったような精神状態で
周りの景色を眺めたような気がする

掴む物などありゃしない まるで底なし沼のようだった
必死で這い出た

パニックが襲ったのはその湯上がり直後
立ち上がった周囲の雪がその色に染まり
丸い茶色が浮き出 事態を認識した後だ

大声で叫べども白銀野原に人影は見えぬ
室伏広治 投球後の絶叫にも似て

泣く泣く歩く
トボトボ びちょびちょ ヌルヌル

くちゃい!

何と形容すればいい?
果物の女王 熟れきったドリアンに
干物の雄 最高峰くさやを
リヤカー満載で行商するようなものか

町に近づくにつれ恐怖は増す
家が見えたら一目散にかけ出した

驚愕の家族 どうしたっ! 声はすれども
余りの臭気に寄ってはこない

祖母が出てきてそっと手を取り庭の井戸へ
小さなチンポコむき出し全裸
泣きじゃくる孫の体洗いながら

【でかしたぞ孫 お前はきっと出世する 吉兆じゃ】

後日知ることになるが
古くからこの喩えは在るそうな

40年過ぎたが出世とは無縁の世界に今いる
日々無事生きてることのみ真実と

寒さからか それともおぞましき体験の衝撃か
小刻みにふるえる体に井戸の水が温かかった

小学六年 思うにこの年は人生の一つの転機
長野県は広い 三度の転校 各地の方言抱えて
いじめに遭う 暴れて一人淋しく授業を受けたっけ

今考えれば何という贅沢!

集団の 人の 怖さ初めて知った年でもあった
一人で生きようと バイト始めたのもこれがきっかけだ

弱冠 12才

ってぇと 何か
すでにこの時 俺の人格ができた? 

それ以後は何だったんだ、、、、 (-.-;)



追伸
この臭気 如何に洗おうともまず一週間は消えませぬ
さすがに今時この貯蔵庫 見あたりませぬが
40年ぶりにお逢いしとう存じます 肥溜めっ!!

皆様是非一度お試しのほど
履 歴
所詮肉体労働を提供し賃金を得る行為かと後々悟る

どんな職業にもプロがいた
今のようにバイトが表立つようなことはなかった
何でもないように見える作業ほど職人技だった
魅力的な頑固親父が多く 厳しいが楽しかった
東北のぼくとつ無口な出稼ぎ人も温かかった

そして賃金
およそ30年前だが今よりは確実に高かった不思議

□警察(小石川富坂警察署)
  犯人尾行の運転手に雇われる 技多く真剣
  逮捕の瞬間は模擬でも緊迫 国家権力の一端を見る

□ガードマン
  何かあったら即座に逃げよとの至上命令
  何のためのガードマン?
  しかしそれ以外 確かに道はなかった
  唯一制服着用 丸腰

□土方(日雇い)
  夜明け間近の高田馬場 日当を連呼するトラック
  我がちに乗り込む多数の労務者 定員になり次第発車
  一番トラックに乗り遅れれば賃金は下がる
  仕事はきついが35年前で日当万単位は確実だった
  セメントこねの良き相棒になれるとおだてられ
  真夏の穴掘りに失神寸前

□徹夜デパート掃除
  回転式掃除機 見れば楽そう 試してみたら
  自分が回転した
  床に大量の水をぶちまける ワイパー型道具を
  さっと一振り 一瞬にして水が手元のちり取りに
  収まる不思議 プロかいま見る

□製本屋
  文京区に多かった 丸一日立ちっ放しで歩くに歩けず
  「三日三月三年」と教えられたのはここ
  何事もこれを超せば耐えられると
  
□紙くず処理
  製本屋などから出る紙くずを立方体に圧縮する
  たかが紙 しかしとんでもない重量になる
  100kg近いこれを荷揚げするこつを半年かかって覚える

□リンゴの花摘み
  小六初めてのバイト日当500円 うれしかった

□新聞配達 
  真冬の長野 凍てつく道 何度こけての叱責だったか

□ダスキン  
  モップと消臭剤の交換作業 六本木支店長に推される
  断らなければ今頃は、、、、、

□的屋(香具師)
  他店の軒先仮り食器を売る これがとてつもなく重い
  祭りの屋台 内情知ればとても買う気にはなれぬ
  その筋絡みで結構危険

□死体処理
  当時破格の日当だったはず 米兵ベトナム戦死者の、、
  さすがに行けなかった

□正派管理人
  市ヶ谷 四階建て会館の夜は寂しい 裏は墓地
  正派所蔵のレコードを聴きまくる日々

□運送屋
  4トントラックは想像以上に荷物が積める
  その荷の上げ下ろしたるや!
  どれもこれもボロトラック ある日ガソリンタンク
  を引きずりながら走る あわや大惨事

□売血
  当時はまだあった 話はよく聞いていたが
  やはり行けなかった

□秋葉原
  店舗と倉庫の往復 家電の重み すざましく

□艶本横流し
  米軍基地あたりからの流れ品 黒塗り部分が懐かしい
  本場 米 Playboy 誌 鮮烈な画像に愕然
  手垢が付いても良く売れた

□自由民主党
  自民党本部 議員会館はフリーパス
  未だ高速もない時代 党紙を青森へ運ぶ
  真冬の陸奥(みちのく)幾度となくスピンターン

□その他
  忘れた、、
汗 顔
長年自分の親にはしっかり援助してもらったものの
我が娘となると かくも冷たい

授業参観 運動会 その他一切出たことはない
塾などとんでもない 習い事など人生の無駄と諭し
あげく一刻も早く自活せいと長年洗脳にいそしむ
その代わり 勉強せい とは意地でも言わぬと誓う

小さい頃一度だけ箏をやりたいとつぶやいた
やらせたくなかった で ちと厳しいレッスンを

二度と箏には寄りつかなかった 作戦成功
その後 貯めたお年玉で小さなキーボードを買う

それで良しと 無手勝手流 楽しく眺めていた

高校受験 突如県立音楽高行くと宣言
弾いたこともないクラシック 泥縄で受かる

呆然 とりあえず低所得者の恩恵あらん限り駆使

卒業寸前 今度は私立音大に参るとのたうち回る
それもJazz!

言い出したら収めぬは遺伝
加えて一人娘の我が儘ここに至れり

失神寸前 絶叫することしばし
最高級箏何面買えることか 
と まずは己を慈しむ実に見上げた親

奨学金で何十年かかっても返すからと
返すってたってとりあえずの資金はどこよ

在った 

孫よ孫よとジジババが

ほんの微かに 情けなかった

ピアノで何がやりたい?
【レストランでBGMの仕事】

黙し千々に乱れる想い

二年レストランバイトをしたあげくその地位確保

同時に実力派若手Jazzピアニスト追っかけ始め
自腹でレッスン受けイタリア旅行まで

良し 食って行くのは何とかなりそうだ
ここでもう一押し 早く家を出ろっ

彼が出演する近くのライブハウス
そこのママは常に若手に手を差し伸べる
迷わず給仕のバイトに潜り込み ついに、、、

【○○ちゃん 一度ライブやってみたら?】

言質取った

空恐ろしい 次々に夢実現 実力はいったい?

誰に似たんだ
俺じゃない!俺はもっと謙虚だ!

実は今夜 彼女のソロライブ

内容は全く気にしてない 
良くも悪くもいづれきつい洗礼受けるがこの仕事
それはいい

問題は俺だ
この手記でさえ
この俺が親ばかか と素直になれぬ

と言いつつ 汁

まっ いいか、、、
日頃のママへの感謝に死ぬほど呑んでこよう

実はとてもうらやましい
一人聴くのはいつもジャズ ソロピアノだったから
変 人
変わり者と確かに言われる
音楽批評にさえも書かれた エキセントリック と

奇行をする訳でもない
平穏な社会的生活を営み仕事はいたってまじめ
期限に間に合わないどころか依頼と同時に
処理する能力 責任感は人三倍 優しさ一万馬力
謙虚で控えめ 気遣い1024倍
暇人とも称されるが すぐに連絡つくのはあんただけ
と言われる律儀さ 酒は楽しく呑み 
煙草以外は人に迷惑をかけることを極端に嫌う
借金保険は大嫌い 他は出世してると言うに
見よこの未だ質素な長屋生活 超低所得以外は 
ったくもって常人である

いったいどこを見て奇人呼ばわりか

どうもそういう問題ではないらしい
どこかが 変 らしいのである

巷間 同級会などとたまに耳にするが
出席経験もなく小中高と友人もいない

友人と言えるかどうかだが
中高共に過ごした輩が一人いる
色黒の当時としてもやたらに存在感のある奴で
寡黙ではあるが時折つぶやくニヒルな言動と
たまに見せる笑顔 女には確実にもてていた

吹奏楽でも一緒だったと思うが高校時代は
演劇部も共にした シェークスピア 彼の役はオセロ
日常に於いても自分がほんの子供に思えるほど
奴は大人に見えた

それぞれが道を分け
すっかり世俗の垢も身についたある日

出会った

しがない箏弾きと長野舞台の社長として

今頃はどこぞ都会の片隅 地下演劇あたり徘徊かと
それが何!社長だぁ!?!

落ち込んだ やっぱりな さもありなん

才多く何かやる奴だとは思っていた が

社長はいかんぞ社長は!
孤高に生きる奴の理想像が崩れ落ちる

うらやましかった

少し前に仮想空間上でまた出会うことになった
今度は写真家に変貌を遂げていた

素人だからよくはわからんが
どの一枚も当時の圧倒的存在感が感じられる
姿勢正しく凜と立ち無駄を捨てる勇気を持つ
周囲の空気を震わせる彼の太い声が聴こえるようだ

身近なヤツの才は やはり 妬む
どこいでもいるろくでもない社長の一人にでも
なっていてくれたなら 

少しは溜飲下げられたものを、、、、 (笑)
手 強
久々に電脳クラッシュ。
あるアップデートを受け入れたとたん支離滅裂に。

まっさらなハードディスクにプログラム入れたばかり
の快適さ夢見て再インストールの苦難を選ぶ。

どだい水辺でしか遊べぬ底浅い知識、本質何も知らず
やるのだから苦労すること512倍。否、ギガバイ! ト。

復旧作業丸2日。消えた資料にプログラム、
もう戻らない、、、、 いやはや、、。

戦い終えて日が暮れて強者どもが夢の跡。

結果、超快適ですっ!  くそっ!

教訓
順調に動いているのなら欲は出すな
今のハードに合ったソフトを選ぶべし
アップデートは諸刃の剣
後生大事なデータなぞありゃしない

無理もない電脳 一台であれもこれもと

トースターは焼く テレビは見る
炊飯器は炊く 洗濯機は洗う
掃除機は吸う クーラーは冷やす

何事も単一機能が良

オール電化なんか誰が使うか!
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