fool on the hill

香 水
昭和30年代終わり
長野市郊外はまだ見渡す限りの田んぼ
ある晴れた冬の日の下校 通学路を避け
一面雪の原を長靴に雪の塊入るも構わず
一人楽しく帰る

と 突如 世界が浮き上がった

ずぼっ!

なんと 胸まで埋まったは  肥溜め

一瞬 思考停止 

しばらく温泉に浸かったような精神状態で
周りの景色を眺めたような気がする

掴む物などありゃしない まるで底なし沼のようだった
必死で這い出た

パニックが襲ったのはその湯上がり直後
立ち上がった周囲の雪がその色に染まり
丸い茶色が浮き出 事態を認識した後だ

大声で叫べども白銀野原に人影は見えぬ
室伏広治 投球後の絶叫にも似て

泣く泣く歩く
トボトボ びちょびちょ ヌルヌル

くちゃい!

何と形容すればいい?
果物の女王 熟れきったドリアンに
干物の雄 最高峰くさやを
リヤカー満載で行商するようなものか

町に近づくにつれ恐怖は増す
家が見えたら一目散にかけ出した

驚愕の家族 どうしたっ! 声はすれども
余りの臭気に寄ってはこない

祖母が出てきてそっと手を取り庭の井戸へ
小さなチンポコむき出し全裸
泣きじゃくる孫の体洗いながら

【でかしたぞ孫 お前はきっと出世する 吉兆じゃ】

後日知ることになるが
古くからこの喩えは在るそうな

40年過ぎたが出世とは無縁の世界に今いる
日々無事生きてることのみ真実と

寒さからか それともおぞましき体験の衝撃か
小刻みにふるえる体に井戸の水が温かかった

小学六年 思うにこの年は人生の一つの転機
長野県は広い 三度の転校 各地の方言抱えて
いじめに遭う 暴れて一人淋しく授業を受けたっけ

今考えれば何という贅沢!

集団の 人の 怖さ初めて知った年でもあった
一人で生きようと バイト始めたのもこれがきっかけだ

弱冠 12才

ってぇと 何か
すでにこの時 俺の人格ができた? 

それ以後は何だったんだ、、、、 (-.-;)



追伸
この臭気 如何に洗おうともまず一週間は消えませぬ
さすがに今時この貯蔵庫 見あたりませぬが
40年ぶりにお逢いしとう存じます 肥溜めっ!!

皆様是非一度お試しのほど
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